みなさん、こんにちは。もしも今あなたが何かを契約しようとする際に、「身元保証人」を求められたらどうしますか?
大丈夫「いるよ」という方、素晴らしいですね。
それでは、さらに質問を続けます。その身元保証人に「年齢制限」や「居住要件」をつけられたらどうですか?
「え!? そんなことがあるの?」と驚かれる人もいるでしょう。しかし、今の日本ではこのように身元保証人に対して様々な制約要件がつけられ始めているのです。
なぜならば、日本は世界稀にみる「超高齢社会」だからです。
年齢制限とは身元保証人になる人も高齢者である可能性が高く、本人より先に亡くなることのリスクを回避するためのもので、居住要件とは、緊急な事象が発生した時に、その場所にすぐに駆け付けられるかどうか(〇時間以内に駆け付けられるか)という時間制約的なものになります。
日本の人口は、少子化もあり、2010年をピークに減り続けています。しかしながら65歳以上の高齢者の人口は増え続けており、内閣府が2021年に発表した数字によると、高齢者が占める人口の割合は「28.9%」。21%を超えると「超高齢社会」と言われているので、日本はまさに「超がつく高齢社会」となっています。
このような社会において、
・そもそも高齢者を対象にした身元保証の役割とは何なのか?
・身元保証制度における課題は何があるのか?
・身元保証が必要となった場合に今後どうしたらいいのか?この先どうなってしまうの?
今回は、このような様々な疑問にお答えしたいと思います。
高齢者における身元保証の現状と役割
身元保証人とは、一般的には本人が金銭の支払いや履行ができなくなった場合に、代わりに責任を負う人のことで、本人の信用や信頼を補強する役割を果たします。身元保証人を求める理由は、本人が不測の事態に陥ったときに、金銭の返済や契約の継続ができるかどうかを確保するためです。
しかし、超高齢社会では、この返済や契約の継続以外にも、身元保証が必要とされるケースが数多くあります。
例えば、高齢者が病院に入院したり施設への入所したり、また様々な介護サービスを利用する場合の身元保証です。また、何か問題が発生した場合の緊急連絡先の役目もあります。
高齢者の身元保証制度では、高齢者が、生活費や医療費を賄うための資金を確保することができることの他、適切な医療や必要なサポートを受けることができ、健康を維持しやすくなります。また、身元保証があることで、高齢者は社会に積極的に参加しやすくなるという効果もあります。
しかし、同時に高齢者の身元保証には様々な課題も存在します。
身元保証の課題
例えば、高齢者の人口急増や様々な制約条件付加による保証人の不足。保証人の財政的負担の増加による不足。身元保証人が返済義務を負うことで、自分の生活や財産に大きな影響を受ける可能性があるということです。例えば、身元保証人が高齢者であった場合、自分の老後の資金や介護費用に困ることになりかねません。また、身元保証人が亡くなった場合は、その遺族が返済義務を引き継ぐことになります。また財政的負担の増加に伴い、保証人と高齢者のトラブルなども多くなっています。
これらのリスクを考えると、今の超高齢社会において、身元保証人になる人は、これからもどんどん少なくなっていくことが予測されます。
もしも身元保証人がいないとなると、高齢者は施設や介護などの必要なサービスを受けられなくなったり、金銭の返済に苦しんだりするなど、生活や健康に関わる重要な問題が生じる可能性があります。そうなると、高齢者は自立した生活をすること自体が困難になります。
つまり、超高齢社会では身元保証の問題がとても深刻化しているのです。
では、身元保証人がいない場合はどうすればいいのでしょうか。最近ではいろいろな身元保証サービスがあります。この身元保証サービスとは、入院や介護施設への入所に際して、お金等の心配がある方のために、支払を一時的に立て替えたり、緊急時の連絡先になったりしてくれるサービスです。また、身元保証に関するサービスを提供する事業者によっては、入院や介護施設への入所以外にも、葬儀や遺品整理についてもサポートしている場合があります。
身元保証サービスを利用することで、身元保証人を探す必要がなくなり、家族や親族に負担をかけずにすむメリットがあります。また、身元保証サービスを利用することで、入院や入居をスムーズに行えるようになり、必要な時にすぐに対応してもらえるメリットもあります。
一方で、身元保証サービスを利用する際には、審査基準が厳しかったり、財産開示を求められる場合があります。さらに高額な費用が発生する場合があること、高齢者の増加に伴い、負担する身元保証費用が増加し、サービスの提供元自身が倒産するリスクがあること、悪質な会社・団体に注意しなければならないことなどのデメリットもあります。具体的なサービス内容や契約方法、料金等は様々であり、利用にあたっては事前によく確認することがとても重要になってきます。
身元保証サービスの選び方
それでは、どんな会社を選べばいいのか?
身元保証サービスを選ぶ際のポイントとして、私は以下の3点をあげたいと思います。
①サービス内容を健全化する:既存の身元保証サービスには、残念ながら不透明な契約内容や高額な手数料など、契約者に不利なものが存在するのも事実です。これらのサービスを健全化するためには、とにかくわからないことを質問し、ご自身でその内容をまとめる。細部にわたる項目までの見積もりをとる。これを複数社選定し実行し、とにかく客観的に比較をおこなってください。
②財産開示を求める会社はできるだけ避ける:日本では信用力(返済能力や返済意思)に対してのデータが十分に整備されておらず、また個人の収入や支出などから信用力を判定する仕組みもありません。財産開示を求める会社は、サービスの提供よりも利益を優先する。つまり利益相反となる場合が多いので、できるだけ避けた方が、もしもの返済トラブルを回避することができると思います。
③身元保証人の役割に応じた仕組みがあるかどうかを確認する:身元保証人には、親族や友人などの個人と、金融機関や公的機関などの法人があります。当然に個人と法人では、身元保証に対する責任やリスクが異なります。義理や義務から引き受ける個人と違い、法人はビジネス的な関係から身元保証を引き受けます。よって、包括的な身元保証ではなく、役割に応じた契約内容や料金などの仕組みがあるかどうかを確認することをおすすめします。例えば、契約内容の中に日常サポートとなどがあるとします。では、そのサポートは何回受けても費用は発生しないのか?回数制限があるのか?制限を超過した場合の料金設定はどうなっているのか?などです。
以上の3つのポイントを押さえることで、安心安全な納得のできる保証サービスを受けることができるようになるのではないかと考えます。
おわりに 今後私が期待すること
最後に、この身元保証の課題を解決することで、どうして超高齢社会における高齢者の安心な生活を実現することができるのでしょうか?を、考えてみたいと思います。
超高齢社会の日本においては、①人口構成の変化により、若年層が減少し、保証人になる人が少なくなっています。②そのため高齢者の身元保証には様々な課題が生じています。高齢者が増えることで、身元保証人を求めるケースが増えるとともにその費用が増加。さらに、介護や医療費などの社会保障費が増加しています。③これが国や地域の財政負担の原因となっています。そして、④介護や医療サービスのニーズが高まる中、少子高齢化の背景もあり、それらを支える人材がますます不足するなどの課題が今、問題視されています。
解決策としては、まず財政的な負担を軽減するために、やはり税制改革や社会保障制度の見直しが必要になるのではないでしょうか。しかし一時だけの増税とかではなく、持続可能な財源を確保ができる仕組みが必要になります。そのような仕組みをぜひ構築してもらいたいものです。
保証人が不足する問題に対処するためには、地域社会全体で高齢者を支える仕組みを構築することが必要になります。ボランティアや地域コミュニティの支援を強化し、高齢者を包括的に支えることが大事です。私が住む横浜市では、社会福祉協議会を中心にすでに重要案件として取り組みを開始しています。
そして、人材不足を補うには「介護ロボット」や「テレヘルス」と呼ばれる情報通信技術をサービスや診療などに、どんどん活用してもらうのはどうでしょうか。活用することにより、高齢者の生活支援や医療サービスを向上させることができるはずです。
これらの解決策を実行することで、超高齢社会でも安心して生活できる環境が整うのではないかと考えます。まだまだ課題は多いですが、今後も継続的な改善がなされていくことを私は期待しています。
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